~ストレンジ・ダーリン~ 東京ラスク社員が紹介する おやつの時間におススメな映画 Vol.87

~ストレンジ・ダーリン~ 東京ラスク社員が紹介する おやつの時間におススメな映画 Vol.87

皆さん、こんにちは!
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東京ラスク社員であり大の映画好きな私 Haruが、「おやつのお供に観たい映画」をご紹介していくこのブログ。

映画について語りつつ、ラスクに合う楽しみ方もちょっと添えて。
ぜひ、ラスクとお気に入り映画で心ほどける時間をお過ごしください。



第87回では、シリアルキラーの恐怖が蔓延る町で出会った男女の物語を全6章構成で描くスリラーを紹介します。

男女のチェイス劇を、巧妙な叙述トリックによってミスリードや伏線をちりばめながら描いています。
全6章をバラバラに繋ぎ合わせ、時間が行ったり来たりするストーリーにまず惹きこまれます。


○ストレンジ・ダーリン(2023年製作)



スタッフ・キャスト

監督:JT・モルナー


"レディ"役:ウィラ・フィッツジェラルド
"デーモン"役:カイル・ガルナー

~あらすじ~

シリアルキラーが町を恐怖に陥れるなか、モーテルの前に1台の車が止まっている。車中には、今夜出会ったばかりの男女の姿があった。銃を持った“デーモン”に車で追い回された女性“レディ”は、やがて老夫婦の住む家にたどり着く。
引用:MOVIE WALKER PRESS(https://press.moviewalker.jp/mv89477/)



◆見どころポイント◆


①先の読めない構成が生むスリル

 本作の最大の魅力は、物語が時系列通りではなく「章立て」で断片的に語られていく構成です。

 映画は全6章で構成されていますが、その順番は意図的にシャッフルされており、観客は最初から「何が起きているのか」を完全には理解できません。
 逃げる女と追う男という状況だけが提示され、そこに至る経緯が少しずつ明らかになっていきます。

 この構造によって、観客は常に推理を迫られます。「どちらが被害者で、どちらが加害者なのか」「なぜこんな事態になったのか」という疑問が、シーンが進むたびに揺さぶられていくのです。

 物語が断片的に提示されることで、同じ出来事でも見え方が変わる瞬間が生まれ、観客の思い込みが巧みに裏切られていきます。

 さらに、本作は単なるどんでん返し映画ではありません。断片がつながるたびに、登場人物の心理や状況が立体的に浮かび上がり、物語全体の意味が少しずつ変化していきます。

 観終わったあとに「最初から見直したくなる」タイプの作品であり、観客自身が物語のパズルを完成させていくような楽しさがあります。

 サスペンス映画としての緊張感に加え、構成そのものが仕掛けになっている点が、この作品を非常にユニークなものにしています。


②二人の俳優が作り出す濃密な心理戦

 物語の中心にいるのは、名前すらはっきりと明かされない男女です。

 彼女は「レディ」、彼は「デーモン」と呼ばれ、二人の関係は最初からどこか危うい空気をまとっています。
 偶然出会った男女の一夜の関係から始まるはずの出来事が、次第に恐ろしく歪んだゲームへと変わっていくのです。

 この緊張感を支えているのが、主演の俳優たちの演技です。
 特に女性主人公を演じるウィラ・フィッツジェラルドは、脆さと狂気、そして計算高さが入り混じった複雑なキャラクターを非常に魅力的に表現しています。表情や声のトーンがわずかに変化するだけで印象が大きく変わり、観客は彼女を信用していいのか迷い続けることになります。

 一方で男性役のカイル・ガルナーも、危険な人物なのか、それとも巻き込まれた存在なのか判然としない人物像を巧みに演じています。二人の会話はどこか艶やかでありながら、不穏な空気を常に漂わせており、ちょっとした言葉のやり取りだけでも緊張感が生まれます。

 本作は派手なアクションが続くタイプのスリラーではありません。むしろ、二人の距離感や視線、会話の温度といった細かな要素によって、観客の不安をじわじわと膨らませていきます。

 二人芝居に近い濃密な心理戦こそが、この映画を強く印象に残す要素になっています。


③映像と音楽が作り出す独特の空気

 『ストレンジ・ダーリン』は、低予算のインディーズ映画でありながら、映像の完成度の高さでも大きく評価されています。

 撮影を担当したのは俳優としても知られるジョヴァンニ・リビシで、本作は彼にとって長編映画の撮影監督デビュー作でした。作品は35ミリフィルムで撮影されており、どこかざらついた質感と深い色合いが特徴です。

 物語の舞台となるのは、アメリカ・オレゴン州の田舎町。
 広い空、乾いた道路、静かな森など、開放的な風景が多く登場します。しかしその美しい風景とは裏腹に、そこで起きている出来事は非常に残酷で不穏です。
 このギャップが映画全体に独特の緊張感を与えています。

 また音楽の使い方も印象的です。静かなシーンでは不気味な余韻を残す楽曲が流れ、暴力的な場面では突然空気が張り詰めます。派手な演出ではなく、映像の色味や音の使い方によって観客の感情をコントロールしていく点が非常に巧みです。

 その結果、この映画は単なるスリラーというよりも、どこか退廃的で妖しい魅力を持つ作品に仕上がっています。観終わったあとも、あの奇妙な空気がしばらく頭から離れなくなるでしょう。



まとめ

 『ストレンジ・ダーリン』は、男女の出会いから始まるシンプルな物語を、巧みな構成と演出によって極めて刺激的なサスペンスへと変貌させた作品です。
 断片的に語られる物語、観客の予想を揺さぶる人物像、そして不穏な美しさを持つ映像表現が組み合わさり、独特の緊張感を生み出しています。
 派手な大作ではありませんが、観る人の想像力を刺激し、物語の裏側を考えさせる魅力に満ちた一本です。
 サスペンスやスリラーが好きな方はもちろん、「普通の映画では物足りない」という人にこそおすすめしたい、刺激的で印象深い作品といえるでしょう。

 それでは、映画とともに 素敵なラスク時間を

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