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東京ラスク社員であり大の映画好きな私 Haruが、「おやつのお供に観たい映画」をご紹介していくこのブログ。
映画について語りつつ、ラスクに合う楽しみ方もちょっと添えて。
ぜひ、ラスクとお気に入り映画で心ほどける時間をお過ごしください。
第86回では、オレオレ詐欺に遭った老婦人が、周りを巻き込みながら自力で犯人を突き止めようとするコメディドラマを紹介します。
93歳にして映画初主演となった名優ジューン・スキッブが、チャーミングなテルマを熱演。
テルマに巻き込まれる旧友ベンは、往年の名優リチャード・ラウンドトゥリーがカッコよく演じています。残念ながら、本作は彼の遺作となってしまいました。
ジョシュ・マーゴリン監督が自身の祖母の実体験にインスピレーションを受けて脚本が執筆しました。
○テルマがゆく! 93歳のやさしいリベンジ(2024年製作)
スタッフ・キャスト
監督:ジョシュ・マーゴリン
テルマ役:ジューン・スキッブ
ベン役:リチャード・ラウンドトゥリー
ダニエル役:フレッド・ヘッキンジャー
~あらすじ~
93歳のテルマ(ジューン・スキッブ)は、夫に先立たれ、寂しくも気楽な一人暮らしを謳歌していた。ベストフレンドは、心優しい孫のダニエル(フレッド・ヘッキンジャー)。ところが、そんな穏やかな日常を送っていたテルマの運命は、一本の電話で大きく変わってしまう。“おばあちゃん、オレオレ。事故を起こしてしまったよ!”。刑務所にいると語る愛する孫を助けるため、テルマは急いで保釈金1万ドルをポストに投函。だがそれは、“オレオレ詐欺”だった……。落胆する娘夫婦を見て、いても立ってもいられなくなったテルマは、詐欺師たちからお金を取り戻すため、インポッシブルなミッションの遂行を決意。旧友ベン(リチャード・ラウンドトゥリー)を巻き込み、電動スクーターでロサンゼルスの街を駆け巡る大冒険に出発する。果たして、テルマのミッションの行方は……!?
引用:MOVIE WALKER PRESS(https://press.moviewalker.jp/mv89143/)
◆見どころポイント◆
①93歳が主人公という設定が、物語を驚くほど自由にする
本作最大の魅力は、主人公が93歳であるという一点に尽きます。
ただしそれは「高齢者だからすごい」という賛美のための設定ではありません。むしろこの年齢だからこそ、物語は余計な説明や見栄から解放され、驚くほど率直で軽やかなものになります。
テルマは無理に若者のように振る舞いません。足取りはゆっくりで、体力にも限界があり、時には不安や弱音もこぼします。
しかし、その一つひとつが「弱さ」ではなく、「人生を重ねた結果の自然な姿」として描かれているのが印象的です。
また、年齢を重ねたからこそ持ち得る判断力や、他人の善意と悪意を見抜く眼差しが、物語を静かに前へ進めていきます。
派手なアクションや大声の主張はありませんが、テルマの一歩一歩には確かな意思が宿っています。
その姿は観客に「年を取ること=失うこと」という固定観念を、やさしく問い直してくれます。
この映画が描く93歳は、特別なヒーローではありません。
それでも、「自分の人生は自分で決める」という意思だけは、誰よりも強く持っています。その静かな強さが、観る人の心に長く残るのです。
②“やさしいリベンジ”という言葉が、最後まで裏切られない
タイトルにある「リベンジ」という言葉から、激しい復讐劇を想像すると、本作は少し意外に感じられるかもしれません。
テルマが選ぶのは、相手を打ち負かすための報復ではなく、自分の尊厳を取り戻すための行動です。その姿勢が、この映画をとても心地よいものにしています。
テルマは怒りに身を任せません。誰かを傷つけることでスッとするような描写もありません。
その代わりに描かれるのは、「それでも私は黙ってはいない」という、静かで芯のある抵抗です。
彼女の行動は、常に人との関係性や、相手の立場を踏まえたものになっており、そこに長い人生で培われた思慮深さが感じられます。
この“やさしさ”は決して弱さではありません。むしろ、簡単に怒鳴ったり壊したりしないからこそ、テルマの選択は重みを持ちます。
観客はいつの間にか、彼女の行動を応援し、「どうかうまくいってほしい」と願うようになります。
リベンジという言葉にありがちな後味の悪さがなく、見終えたあとに残るのは、ほのかな爽快感と温かさです。
このバランス感覚こそが、本作が幅広い世代に愛される理由だと感じます。
③ユーモアと現実感が同居する、絶妙なトーン
本作はコメディとしても非常に魅力的な作品です。
『ミッション:インポッシブル』のオマージュみたいな劇伴も相まって、スパイ映画っぽくなってるのがユーモラスで楽しいです。
ただし、笑いを取りにいくために誇張しすぎることはありません。
日常の中にあるちょっとしたズレや、世代間の感覚の違いが、自然なユーモアとして描かれています。
例えば、最新のテクノロジーや現代的な価値観に戸惑うテルマの姿は、決して彼女を笑いものにしません。
むしろ、「わからないけれど、向き合おうとする姿勢」そのものが微笑ましく、観る側も優しい気持ちになります。
そこには高齢者を記号的に扱わない、誠実なまなざしがあります。
同時に、この映画は現実の厳しさから目をそらしません。高齢であることの不安、家族との距離、社会の中で見えにくくなっていく感覚。そうした要素がさりげなく織り込まれているからこそ、物語は地に足がついています。
笑える場面と、少し胸に刺さる場面が交互に訪れ、そのリズムが最後まで心地よく続きます。
気軽に観られる一方で、観終えたあとには人生について少し考えさせられる、奥行きのある一本です。
まとめ
『テルマがゆく! 93歳のやさしいリベンジ』は、年齢や立場に関係なく、自分の尊厳を守ることの大切さを静かに伝えてくれる作品です。
派手さはありませんが、その分、登場人物の感情や選択が丁寧に心に届きます。
笑えて、少し切なく、それでも前向きな気持ちになれる。そんなやさしい映画です。
それでは、映画とともに 素敵なラスク時間を







