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東京ラスク社員であり大の映画好きな私 Haruが、「おやつのお供に観たい映画」をご紹介していくこのブログ。
映画について語りつつ、ラスクに合う楽しみ方もちょっと添えて。
ぜひ、ラスクとお気に入り映画で心ほどける時間をお過ごしください。
第84回では、スペインのカタルーニャを舞台に、3世代にわたり桃農園を営む大家族が直面する危機を描いた家族ドラマを紹介します。
世代も価値観もバラバラな家族のリアルなやり取りに笑わされ、泣かされ、考えさせられる。そんな作品です。
『悲しみに、こんにちは』で世界中から絶賛を受けたカルラ・シモンの長編2作目です。
○太陽と桃の歌(2022年製作)
スタッフ・キャスト
監督:カルラ・シモン
キメット役:ジョルディ・プジョル・ドルセ
ドロルス役:アンナ・オティン
ロジェー役:アルベルト・ボスク
マリオナ役:シェニア・ロゼット
ロヘリオ役:ジュゼップ・アバッド
~あらすじ~
大家族で桃農園を営むソレ家は、例年通り収穫を迎えようとした時、地主から立ち退き命令を突きつけられる。桃の木を伐採し、代わりにソーラーパネルを敷き詰めるというのだ。父親は激怒するが、妻と妹夫婦は「楽に稼げる」という囁きに心を動かされてしまう。祖父、父、長男らがそれぞれこの危機をなんとかしようとするが、大ゲンカが勃発。大きな亀裂が入ったまま、最後の収穫が始まる。
引用:MOVIE WALKER PRESS(https://press.moviewalker.jp/mv87637/)
◆見どころポイント◆
①「家族」という共同体のリアルな温度
『太陽と桃の歌』のいちばんの魅力は、「家族が一緒に生きること」の現実を、驚くほど自然に映し出している点です。
ソレ家は3世代が関わる大家族ですが、誰かが特別に目立つわけではありません。
祖父母、親、子どもたち、それぞれがそれぞれの立場で現実と向き合い、生活を回しています。
この映画では、感情を大きく説明する場面はほとんどありません。代わりにあるのは、作業中の言い合い、食卓での沈黙、子ども同士の無邪気な遊び。
そうした何気ないやりとりの積み重ねが、「この家族は確かに長い時間を一緒に生きてきた」と観る側に実感させます。
仲が良いだけではない、衝突もあるし、価値観のズレもある。それでも同じ土地に立ち、同じ空を見上げている。
その距離感がとてもリアルで、観ているうちに、まるで自分もこの家族の一員として夏を過ごしているような感覚になります。
家族映画でありながら、家族を理想化していないところが、この作品を深く心に残るものにしています。
②桃畑の光と音が語る「失われゆくもの」
この映画では、自然が単なる背景ではなく、重要な語り手として存在しています。
照りつける太陽、乾いた土の感触、木に実る桃の重み。カメラはそれらを丁寧に捉え、観客に畑の空気をそのまま届けてきます。
だからこそ、「この風景が失われるかもしれない」という不安が、言葉以上に強く伝わってきます。
太陽光パネルという現代的で合理的な存在は、決して悪者として描かれません。
しかし、それが入り込むことで、長年続いてきた労働のリズムや、土地に染みついた記憶が断ち切られてしまう可能性がある。
その切なさが、桃畑の美しさと対照的に浮かび上がります。
社会は本当に"進歩"していると言えるのか。
スペインの眩しい陽光の下、ひとつの家族の姿を通して社会の未来を問うてきます。
視覚と感覚で訴えてくる力が、この映画にはあります。
③俳優と現実の境目が消える演出
カルラ・シモン監督は、プロの俳優をほとんど使わず、実際に農村で暮らす人々をキャスティングしています。
その効果は絶大で、画面に映る人物たちは「演じている人」ではなく、「そこに生きている人」にしか見えません。
セリフは日常会話そのもので、ときに途切れ、ときに重なり合います。
感情を強調する音楽も控えめで、出来事が淡々と進んでいく。
そのため、ドラマチックな展開を期待すると拍子抜けするかもしれませんが、逆に言えば、それが人生の実感に近いのです。
特に印象的なのは、子どもたちの存在です。大人たちが抱える問題を完全には理解しないまま、目の前の夏を全力で生きている。
その無邪気さがあるからこそ、変わりゆく現実の重さが際立ちます。
フィクションでありながら、ドキュメンタリーを観ているような感覚。この境界線の曖昧さが、『太陽と桃の歌』を唯一無二の作品にしています。
まとめ
『太陽と桃の歌』は、大きな事件や派手な演出で心を揺さぶる映画ではありません。
それでも、家族と土地、受け継がれてきた時間が静かに失われていく過程を、これほど誠実に描いた作品は多くありません。
時代は移り変わり社会が変質する中で、確かに存在する普遍的な家族の絆。静かに胸に響く作品であることは間違いありません。
それでは、映画とともに 素敵なラスク時間を







