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東京ラスク社員であり大の映画好きな私 Haruが、「おやつのお供に観たい映画」をご紹介していくこのブログ。
映画について語りつつ、ラスクに合う楽しみ方もちょっと添えて。
ぜひ、ラスクとお気に入り映画で心ほどける時間をお過ごしください。
第83回では、触れると10秒で死に至る正体不明のピンクの雲が突如世界を覆い、ロックダウン生活を余儀なく送る1組の男女を描いたSFドラマを紹介します。
偶然にも2020年から始まった世界的なパンデミックと類似したことでも話題になった作品。
○ピンク・クラウド(2024年製作)
スタッフ・キャスト
監督:イウリ・ジェルバーゼ
ジョヴァナ役:ヘナタ・ジ・レリス
ヤーゴ役:エドゥアルド・メンドンサ
~あらすじ~
一夜の関係を共にしているジョヴァナ(ヘナタ・ジ・レリス)とヤーゴ(エドゥアルド・メンドンサ)をけたたましい警報が襲う。突如として発生した毒性を持った正体不明のピンクの雲。それに触れると10秒で死に至るとニュースが報じる。二人は窓を閉め切って高層アパートに引きこもり、長くて数週間で終わるであろうロックダウン生活に入る。しかし、月日は流れ、この生活が終わらないことを誰もが悟り始めたころ、見知らぬ他人だったジョヴァナとヤーゴは現実的な役割を果たすことを迫られる。父親になることを望むヤーゴと、それに反対するジョヴァナ。2人の間に、やがてリノという男の子が生まれる。パンデミック以前の生活を知らないリノは、 家の中という狭い世界で何不自由なく暮らし、父親になったヤーゴも新しい生活に適応していた。しかし、ジョヴァナの中で生じた歪みは次第に大きくなっていくのだった……。
引用:MOVIE WALKER PRESS(https://press.moviewalker.jp/mv78913/)
◆見どころポイント◆
①「閉じ込められた世界」が映し出す、現代的な孤独と不安
『ピンク・クラウド』の最大の特徴は、外の世界に出られないという極端な設定を通して、現代人が抱える孤独や不安をとても身近なものとして描いている点です。
理由も終わりも分からないまま続く隔離生活は、観る側に息苦しさを感じさせますが、それは決して誇張されたフィクションではありません。
スマートフォンや配信サービス、オンライン通話が生活を支える様子は、私たちの日常とほとんど地続きです。
外に出られなくても生きていける環境が整っているからこそ、「本当に自由なのか」「人と一緒にいる意味は何なのか」といった問いが浮かび上がります。
ジョヴァンナとヤーゴは同じ空間にいながら、心の距離を測りかね、互いに違和感を抱え続けます。
その姿は、誰かとつながっているはずなのに孤独を感じてしまう、現代的な感覚をそのまま映し出しているようです。
この映画は、恐怖やパニックを煽るのではなく、静かな違和感を積み重ねていくことで、観る人自身の経験や感情を自然に呼び起こします。
「もし自分だったらどう感じるだろう」と考えずにはいられないリアルさが、本作を強く印象づけています。
②恋愛でも家族でもない関係性のリアル
本作が興味深いのは、ジョヴァンナとヤーゴの関係が、単純な恋愛映画の枠に収まらないところです。
二人は情熱的に惹かれ合うわけでも、理想的なカップルでもありません。
むしろ価値観はズレていて、将来に対する考え方も大きく異なります。
それでも同じ空間で生活を続けるしかない状況が、関係を少しずつ変質させていきます。
一緒にいることが安心になる瞬間もあれば、相手の存在が重荷に感じられる瞬間もある。その揺れ動きがとても正直に描かれているため、観ていて「わかる」と感じる場面が何度も訪れます。
愛情だけでは乗り越えられない現実や、相手を思う気持ちと自分の人生を守りたい気持ちの間で揺れる心情は、誰にとっても他人事ではありません。
この映画は、関係を続けることが必ずしも正解ではないこと、そして離れることもまた一つの選択であることを、押しつけがましくなく示してくれます。
だからこそ、二人のやり取りは甘さよりも切実さが際立ち、観る側の心に静かに残ります。
③女性の視点で描かれる「選ぶこと」の重さ
『ピンク・クラウド』は、ジョヴァンナの視点を通して、人生における「選択」の重さを丁寧に描いています。
社会や環境によって選択肢が狭められていく中で、自分は何を望み、何を手放すのか。
その問いは、特に女性の生き方と強く結びついて描かれています。
母になること、パートナーと生きること、仕事や自由をどう位置づけるのか。
どれも簡単に答えが出るものではありません。
ジョヴァンナは、状況に流されながらも、自分の意思を見失わないよう必死にもがきます。
その姿は決してヒロイックではなく、迷いや弱さを抱えたままです。
だからこそ、彼女の選択はリアルで、観る人の胸に迫ります。
本作は、「こうあるべき」という価値観を提示しません。ただ、選ぶことには痛みが伴うこと、そして選ばなかった人生もまた心に残り続けることを静かに伝えます。
その誠実なまなざしが、この映画を単なる近未来SFではなく、深い人間ドラマへと押し上げています。
まとめ
『ピンク・クラウド』は、極端な設定を用いながらも、描いているのは私たちのすぐ隣にある感情や葛藤です。
閉ざされた世界の中で浮かび上がる孤独、関係性の難しさ、そして人生を選ぶことの重さ。
派手な展開はありませんが、その静けさこそが、観終わった後も長く心に残ります。
今の時代だからこそ、多くの人にそっと届いてほしい一本です。
それでは、映画とともに 素敵なラスク時間を







