皆さん、こんにちは!
いつも東京ラスクオンラインショップをご利用いただき、誠にありがとうございます。
東京ラスク社員であり大の映画好きな私 Haruが、「おやつのお供に観たい映画」をご紹介していくこのブログ。
映画について語りつつ、ラスクに合う楽しみ方もちょっと添えて。
ぜひ、ラスクとお気に入り映画で心ほどける時間をお過ごしください。
第72回では、カナダのある高校生が映画への愛情と不器用な性格ゆえに揺れ動きながら、初めて社会や他者と向き合っていく姿を繊細に描いた青春ドラマを紹介します。
個人的には映画好きとして主人公のローレンスに親近感がわきます。学生時代にはこんな友達が欲しかった!
○I Like Movies アイ・ライク・ムービーズ(2022年製作)
スタッフ・キャスト
監督:チャンドラー・レヴァック
ローレンス役:アイザイア・レティネン
マット役:パーシー・ハインズ・ホワイト
アラナ役:ロミーナ・ドゥーゴ
~あらすじ~
2003年、カナダの田舎町。映画が生きがいの高校生ローレンス・クウェラー(アイザイア・レティネン)は、社交性に欠け、周囲の人々とうまく付き合えない日々を過ごしていた。そんな彼の願いは、ニューヨーク大学でトッド・ソロンズから映画を学ぶこと。唯一の友達マット(パーシー・ハインズ・ホワイト)と毎日つるみながらも、大学で生活を一新することを夢見ている。ある日、彼は高額な学費を貯めるため、地元のビデオ店「Sequels」でアルバイトを始めることに。かつて女優を目指していた店長のアラナ(ロミーナ・ドゥーゴ)や個性的な従業員たちとの関係を通して、社会の楽しさや厳しさを知っていくローレンス。ところが、自分の将来に対する不安から、大事な人を傷つけてしまい……。
引用:MOVIE WALKER PRESS(https://press.moviewalker.jp/mv87404/)
◆見どころポイント◆
①ローレンスの“痛々しいほどまっすぐな映画愛”
本作の主人公ローレンスは、映画を愛しすぎるがゆえに、周囲とのコミュニケーションがうまくいかず、自己中心的に見えてしまう少年です。
彼の言動には「なんでそこでそんなこと言うの…?」と、思わず顔を覆いたくなるような瞬間がいくつもあります。
しかし、その“痛々しさ”こそが物語の大きな魅力です。
彼は誰かを傷つけようとしているわけではなく、ただ、自分の夢に対してあまりにも正直で、時に視野が狭くなってしまうだけ。
だからこそ、彼の突拍子もない発言や頑固さの裏にある純粋さが、観客にじんわり届いてきます。
とくに、映画に対する語りになると饒舌になり、好きすぎて距離感を間違えてしまう姿は、映画好きなら誰もが“かつての自分”を思い出すような、甘酸っぱい共感を誘います。
「映画に救われた」「映画が世界との接点だった」そんな思いを持つ人にとって、ローレンスのまっすぐすぎる映画愛は、どこか懐かしく、そして痛いほど感覚を呼び起こすはずです。
彼の未熟さがときにトラブルを生むものの、そこには“青さ”の美しさがあり、誰もが一度は通った道として、細やかな感情の波が観客の胸を揺り動かします。
本作は、映画という"媒体"を通して、自分の居場所を探しあぐねるすべての若者への優しいエールにもなっているのです。
②人との距離を学んでいくローレンスの姿が生む、共感と愛おしさ
ローレンスは、映画以外のことになるとどこか不器用で、思ったことをそのまま口にしてしまうタイプです。
自信たっぷりにふるまう一方、実際には他者との関係づくりに戸惑っていて、そのアンバランスさが生々しく描かれています。
とくに、ビデオレンタル店で働きはじめる場面からは、彼が初めて“社会”という空間に放り込まれ、失敗と戸惑いを繰り返しながら人と向き合っていくプロセスが丁寧に描かれます。
相手への気遣いが空回りしたり、素直になれないまま感情をぶつけてしまったり、理解してほしいという気持ちが先走ってしまったりー。
そんな彼の未熟さは、時に痛烈でありながら、どこか放っておけない魅力となって映し出されます。
「ああ、こういう時期あったな…」と、自分の若さを思い返す人も多いはず。
そして、ローレンスの言葉は時折、大人たちの心にも揺さぶりを与えます。
まっすぐで、飾りのないその発言は、社会に馴染むためにいつの間にか灰色になってしまった大人たちの胸に、忘れかけていた熱や問いを呼び戻します。
ただ正直に思ったことを口にしただけなのに、それが誰かの人生の節目を作る…。そんな瞬間が、本作にはそっと散りばめられています。
ローレンスが徐々に、他者の気持ちを自分なりに考え、関わり方を覚えていく過程は、観客に強い共感と愛おしさをもたらします。
「うまくやれなくてもいい、少しずつ進めばいい」そんなメッセージを自然と受け取れる物語です。
③俳優陣の等身大の演技
本作の魅力を一段引き上げているのは、俳優陣の“等身大”の演技です。
主人公ローレンスを演じるアイザイア・レティネンは、思春期の不安定さや過剰な自意識、そして内側に秘めた孤独感を、過剰な演技に頼らず、ごく自然な息づかいで見せています。
「こういう同級生いたな」と思わせるほどリアルで、見ている側はつい彼に肩入れしたくなる瞬間が多くあります。
また、ローレンスの周りにいる大人たちービデオレンタル店のスタッフや母親などーも決して“理想的な大人像”ではなく、誰もが不器用さを抱えながら日々を生きています。
その姿を、キャストが控えめでナチュラルな演技で表現しているため、物語は生活の延長のような質感を獲得しています。
特にローレンスと店長との関係が深まっていく過程は、演技の呼吸がぴたりと合い、静かな場面であっても心に残る熱量を感じさせます。
登場人物たちは決して派手ではありませんが、どのキャラクターにも確かな体温があり、それを自然に手渡すような演技が、作品全体に“その世界で本当に生きている人々”の実在感を与えています。
ローレンスの成長や葛藤も、俳優陣のリアルな表情や間の使い方によって、より深く観客に伝わってきます。
キャラクターたちの“ささやかな日常の表情”が、とても愛しく感じられる一作です。
まとめ
『I Like Movies アイ・ライク・ムービーズ』は、映画を愛しすぎるがゆえに空回りしてしまうローレンスの姿を通じて、誰もが経験した“若さの痛さ”と、その中にある美しさを丹念に描いた作品です。
不器用で、自意識が強く、でも真っすぐ。そんなローレンスが、少しずつ人との距離をはかり、自分以外の誰かの気持ちに目を向け始める姿には、大きな共感と優しい感情が湧きあがります。
映画が好きな人にも、青春期の痛みを知るすべての人にも響く、静かで豊かな成長物語です。
それでは、映画とともに 素敵なラスク時間を







