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東京ラスク社員であり大の映画好きな私 Haruが、「おやつのお供に観たい映画」をご紹介していくこのブログ。
映画について語りつつ、ラスクに合う楽しみ方もちょっと添えて。
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第53回では、分断の現代アメリカを父娘の旅路で描いたアクションドラマを紹介します。
圧倒的な熱量で描ききる160分。編集と音楽が脈打つ体感型の傑作で、160分なんて信じられないくらい一気に曳きこまれます。
監督のポール・トーマス・アンダーソンは、いわゆる"天才"と言うべき監督で、個人的に一番好きな映画監督です。今年のアカデミー賞など賞レースを席巻すること間違いなしです。
○ワン・バトル・アフター・アナザー(2025年製作)
スタッフ・キャスト
監督:ポール・トーマス・アンダーソン
ボブ役:レオナルド・ディカプリオ
ウィラ役:チェイス・インフィニティ
ロックジョー役:ショーン・ペン
ペルフェディア役:テヤナ・テイラー
~あらすじ~
元革命家のボブは最愛の娘と平凡ながらも冴えない日々を過ごしていた。しかし、突然娘がさらわれたことで、ボブの生活は一変してしまう。異常な執着心でボブを追い詰め、命を狙ってくる変態軍人ロックジョーに追われ、次から次へと襲いかかる刺客たちとの死闘のなかで、ボブは次第に革命家時代の闘争心を蘇らせていく。
引用:MOVIE WALKER PRESS(https://press.moviewalker.jp/mv90057/)
◆見どころポイント◆
①さすがの脚本と演出。160分が信じられないほど短く感じる推進力
最初の1カットから、物語がこちらの手を引くように動き出します。
余計な説明を極力排し、観客が自然に状況を理解できる順番と見せ方で場面がつながるため、いつのまにか物語の中に深く入り込んでいます。
複数の出来事が同時進行しますが、線は多くても整理が明快。複雑になりすぎないストーリーが圧倒的な熱量を保ったまま一気に展開し、160分というランニングタイムが信じられないほどあっという間の映画体験になっています。
さすがの脚本と演出にただただ打ちのめされます。
アクションの作りも巧みです。派手な爆発や銃撃だけでなく、車内の視線のやり取り、手元の仕草、息づかいまで、緊張を生む要素が計算され尽くしています。
そして編集が見事でカッコいい。対立が高まる場面ではショットが短く脈打ち、父娘の静かな会話では呼吸を整えるように長回しへ。
さらに、ジョニー・グリーンウッドによる音楽がその切り替えに寄り添い、音と画が一体になって観る人の鼓動を昂らせていきます。
見せ場と見せ場の間の“移動”すらドラマとして機能し、次の瞬間へと観客を押し出す。
気づいたときにはエンドロール、そんな体験が本作の大きな魅力です。
②アクションの奥に宿る“分断・差別・希望”が胸に残る
物語の表面を駆け抜けるアクションの奥で、現代アメリカの分断と差別が静かに、しかしはっきりと描かれている点が本作のテーマと言えます。
追走、衝突、銃撃戦といった見せ場はスリル満点ですが、背景には現代アメリカの制度や負の歴史の影が絶えずちらつきます。
それでも語り口は説教くさくならず、ハイレベルなアクション、さらには父と娘が話し、理解し、選び直す姿を描いた家族ドラマに落とし込んでいます。
差別を“悪役”として単純化せず、人間関係の中で溶けたり固まったりする複雑さを描き、そして最後にはひとすじの希望も見せています。
差別や分断を否定し、それを解決するための暴力も肯定はせず、ただ真っ向から現代アメリカが抱える傷をアクションに落とし込み、そして本質的な人間の繋がりを肯定する。
アクションの熱がテーマを押し流すのではなく、むしろ届きやすくしている。熱く走り続けたのに、優しい余白が確かに残る稀有な一本です。
③俳優陣の演技が物語を押し上げる。響き合う競演の力
本作では、俳優陣の演技が物語の説得力を一段押し上げています。
主人公ボブを演じたレオナルド・ディカプリオは目線の揺らぎと声の震えだけで、強がりの裏に隠れた悔いと愛情を浮かび上がらせます。
恐ろしいロックジョーを演じたショーン・ペンは危うさとユーモアを同居させ、登場するだけで場面の緊張値を変える存在感。
道場のセンセイを演じたベニチオ・デル・トロは言葉少なに重みを積み、見せ場は多くないながらも物語の重要な側面に説得力を与えています。
娘ウィラ役のチェイス・インフィニティは、反発と信頼の共存を自然体で捉え、父娘の関係に呼吸を与える要。
レジーナ・ホール、テヤナ・テイラーも短い出番でも輪郭のはっきりした人物像を示し、物語世界を広げます。
ぶつかり、響き合う見事な演技合戦が本作の大事な大事な見どころです。
まとめ
『ワン・バトル・アフター・アナザー』は、アクションの高揚と家族ドラマの融合で、分断・差別・希望をまっすぐ映し出す体感型の傑作です。
脚本・演出・編集・音楽が強固に噛み合い、俳優陣の熱演が物語の芯を太くします。
重いテーマを説教くさくせず、この上なくおもしろいストーリーにしているのが魅力です。
それでは、映画とともに 素敵なラスク時間を







