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東京ラスク社員であり大の映画好きな私 Haruが、「おやつのお供に観たい映画」をご紹介していくこのブログ。
映画について語りつつ、ラスクに合う楽しみ方もちょっと添えて。
ぜひ、ラスクとお気に入り映画で心ほどける時間をお過ごしください。
第33回では、北欧の無口なロックバンドが米国へ渡り、異文化と音楽の衝突の中で自分たちの居場所を探す、乾いたユーモアと哀愁が交差するロードムービーを紹介します。
途上で出会うさまざまなキャラクターや出来事を背景に、笑いと静かな感動が交互に押し寄せます。
○レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ(1989年製作)
スタッフ・キャスト
監督:アキ・カウリスマキ
ウラジミール役:マッティ・ペロンパー
~あらすじ~
ツンドラ地方を拠点に活動するレニングラード・カウボーイズのマネージャー(マッティ・ペロンパー)は、彼らの演奏があまりにもひどいことを理由に、プロモーターからアメリカに行くことが唯一の希望であると助言され、ニューヨークのプロモーターを紹介してもらう。そして彼らは、ニューヨークでそのプロモーターに会うが、与えられた仕事は、メキシコに住む彼のいとこの結婚披露宴での演奏だった。そのプロモーターから、今はやっているのはロックンロールという音楽である、と教えられた彼らは、本を買って勉強を始める。
引用:MOVIE WALKER PRESS(https://press.moviewalker.jp/mv15622/)
◆見どころポイント◆
①乾いたユーモアと音楽の力
本作のなによりの魅力は、架空のバンド「レニングラード・カウボーイズ」の珍道中。全編を通してセリフは控えめですが、それでも笑いが生き生きと伝わってきます。
演奏の瞬間や表情、リズムの取り方が場を和ませ、アメリカとの異文化の緊張を音楽がほぐしていきます。
また、バンドが仲間を思いやる様子は、演奏を通じて信頼が深まる過程を丁寧に描いており、観客は言葉の壁を超えたコミュニケーションの力を直感的に感じ、音楽が人と人を結ぶ温かな橋になることを実感します。
画作りも無理に派手にはせず、余白を活かすことで場の空気をじっくり伝え、笑いと余韻を交互に呼ぶリズムをつくっています。
②旅を通じた居場所の探し方
米国へ向かう旅路で、言葉の壁や価値観の違いに直面する若者たち。
時には意見がぶつかり、時には助け合いながら、彼らは自分たちの居場所を見つけようと模索していきます。
音楽は彼らのアイデンティティを照らす鏡となり、虚構の成功像ではなく、仲間との絆や日々の小さな成長を大切にする道を示します。
しかも本作はアメリカンドリームの幻影を揶揄し、現実を見せる残酷さも持ち合わせており、観客も彼らの成長を見守るうちに、自分の居場所について考えさせられるような複雑な作品でもあるのです。
異文化の中で生まれる彼らの連帯感が、現実の厳しさと希望の両方を包み込む。
③映像と音楽の一体感
映像は過度な演出を避け、長回しと静かな構図で登場人物の心の揺れを丁寧に映しだします。
演奏シーンと日常シーンの切り替えは自然で、画と音が互いを引き立て合い、観客には“音楽が世界を動かす力がある”という直感が芽生えていきます。
カウリスマキ監督独特の控えめな美学が、人間が普遍的に持つ孤独と連帯の微妙なバランスを浮き彫りにし、現代社会の温かな痛みと希望を同時に伝えています。
観る人は、音と映像が一つの流れとなって心を運ぶ感覚を体験することができます。
まとめ
本作は、乾いたユーモアと哀愁を基調とした独自の美学で、彼らの旅が自分の居場所を探す旅路であることを丁寧に描き出します。国や言葉の壁を越えた連帯の可能性を、控えめな演技と最小限のセリフ、そして音楽の力で示しています。
あなたは、笑いの裏に潜む静かな温かさと、仲間とともに歩む意味を感じ取るでしょう。
それでは、映画とともに 素敵なラスク時間を