~怪物はささやく~ 東京ラスク社員が紹介する おやつの時間におススメな映画 Vol.30

~怪物はささやく~ 東京ラスク社員が紹介する おやつの時間におススメな映画 Vol.30

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東京ラスク社員であり大の映画好きな私 Haruが、「おやつのお供に観たい映画」をご紹介していくこのブログ。

映画について語りつつ、ラスクに合う楽しみ方もちょっと添えて。
ぜひ、ラスクとお気に入り映画で心ほどける時間をお過ごしください。



第30回では、深い悲しみと向き合う少年の成長を、現実と幻想が交錯する独自の世界観で描くファンタジー・ドラマ映画を紹介します。
原作はパトリック・ネスの同名小説です。


○怪物はささやく(2016年製作)



スタッフ・キャスト

監督:フアン・アントニオ・バヨナ


コナー役:ルイス・マグドゥーガル
母親役:フェリシティ・ジョーンズ
祖母役:シガニー・ウィーバー

~あらすじ~
13歳の少年コナーは難病を抱えた母親と2人で裏窓から教会の墓地が見える家に住み、毎晩悪夢にうなされていた。そんなある日、怪物が彼の元へやってきて、「お前に3つの真実の物語を話すから、4つ目の物語はお前が話せ」とコナーが隠している真実を語るように迫る。頑なに拒むコナーだったが、その日を境に怪物は毎晩、彼の元へやってくる。

引用:MOVIE WALKER PRESS(https://press.moviewalker.jp/mv62241/)



◆見どころポイント◆


①物語と心の深層ー“語られざる真実”に向き合う旅

 『怪物はささやく』最大の特徴は、現実の重圧と少年の心理世界を“怪物の語る物語”で橋渡しする構造です。

 物語は、一見どこにでもいるような弱さと罪悪感を抱えるコナーの視点で進みます。母の病状への不安、祖母や父への複雑な思い、学校での孤独やいじめーあまりにも重く、説明しきれない感情が心を支配します。

 そんなコナーの前に現れる怪物は、恐ろしいが慈愛にも満ちた存在です。怪物は古い伝説や寓話を三つ語ります。それぞれに予想外の結末や皮肉が含まれていて、単純な善悪や“正解”は提示しません。
 むしろ、矛盾や弱さ、時に人間の醜ささえあらわにすることで、少年自身が「自分の感情に正直になる」ことの大切さを教えます。怪物の問いかけや物語は、コナーが抱えてきた罪悪感や、認めたくない本音に迫っていきます。

 本作は、問題を“解決”する話ではありません。コナーは自分が本当に恐れていること、受け入れたくない事実、認めたくない感情と対決させられます。
 “救済”は安易に与えられず、「大人にも難しい哀しみとどう折り合うか」のプロセスに、観客自身も引き込まれます。寓話を用いたこの構成は、感情の奥深くを静かに揺さぶります。


② 家族のリアルー母との関係、祖母や父との距離

 この映画は「喪失」「孤独」「成長」といった普遍的テーマを、人間関係のディテールを通して繊細に掘り下げています。

 コナーの母は病魔に冒されながらも息子を深く愛し、ユーモアと優しさで寄り添い続けます。また、病状の悪化で次第に心身ともに弱っていく姿はリアリティに満ちています。

 一方、祖母は規律や手順を重んじ、コナーには冷たい存在に映ります。母を巡る価値観や生き方の違いから、コナーと祖母は何度も衝突します。
 しかし、物語が進行するにつれ、祖母も自分なりに深い悲しみや愛情を抱えていることが明かされ、コナーの視点も少しずつ変化していきます。

 また、父は離婚で家族から離れた存在ですが、“すべてを解決してくれる存在”では決してありません。むしろ親子の距離感や、外国での再婚生活が提示されることで、“どんな家族も完璧からはほど遠い”という現実が描かれます。

 それぞれのキャラクターは善悪に単純化されず、弱さや限界、不器用な愛し方が、まるで現実の家族のように描き出されます。
 子ども目線での「大人」とは、頼るだけではなく、時に失望したり理解し直したりする対象であることを本作はあらためて示します。


③現実と幻想をつなぐ映像美と世界観

 『怪物はささやく』は、視覚的な表現によってコナーの内面を際立たせています。

 怪物はユウガオの巨木の姿をとり、圧倒的なスケールと存在感です。単なるCGキャラクターではなく、声(リアム・ニーソン)による圧倒的な表現と、重厚な造形・動きが強く印象に残ります。

 物語やフラッシュバックの場面では、水彩画が動くようなアニメーションが用いられます。現実のくすんだ色彩と、幻想世界の鮮やかな色調とのコントラストがコナーの“こころの葛藤”をヴィジュアルで直感的に伝えます。
 窓や時計、母の寝室など繰り返し登場するモチーフも、多層的な意味を持ちます。怪物が現れる「12時7分」は、物語における“節目”として重要な役割を果たし、少年の時間感覚や心理的変化を象徴します。

 さらに、家の崩壊や風景の変化などはCG・美術・カメラワークや音楽が渾然一体となった演出で展開され、現実逃避ではなく現実直視の“仕掛け”として機能しています。

 暗い現実を正面から描きつつも、鑑賞者が息苦しさに沈まないよう“幻想”で呼吸を可能にし、物語への没入を助けてくれます。



まとめ

 『怪物はささやく』は、少年が母の死の可能性に向き合いながら、自分自身の暗い感情に目を向け、他者や家族との関係に揺れながら、成長と受容の物語を歩む作品です。
 寓話的な怪物の語りは、人間の心の奥底に響き、家族や自分が傷つく恐れから逃げずに本音を認めることの大切さを静かに教えてくれます。
 痛み、迷い、罪悪感を抱えながらも最後に立ち上がるー誰しも心の奥に持つ不安や弱さに寄り添ってくれる、極めて誠実な感情ドラマです。

 それでは、映画とともに 素敵なラスク時間を

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