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東京ラスク社員であり大の映画好きな私 Haruが、「おやつのお供に観たい映画」をご紹介していくこのブログ。
映画について語りつつ、ラスクに合う楽しみ方もちょっと添えて。
ぜひ、ラスクとお気に入り映画で心ほどける時間をお過ごしください。
第13回では、人生をなんとなく生きている中年男2人組が、カリフォルニア州のワイナリー巡りを通して自身の人生を見つめ直していくヒューマンドラマ映画を紹介します。
滋味にあふれる脚本とキャスト陣の演技が賞賛され、第77回アカデミー賞では脚本賞を受賞、作品賞、監督賞など他4部門にノミネートされました。
○サイドウェイ(2004年製作)
スタッフ・キャスト
監督:アレクサンダー・ペイン
マイルス役:ポール・ジアマッティ
ジャック役:トーマス・ヘイデン・チャーチ
マヤ役:ヴァージニア・マドセン
ステファニー役:サンドラ・オー
~あらすじ~
作家志望のマイルスと親友ジャックは、ジャックの結婚前の最後のバチェラー旅行としてカリフォルニアワインの名産地・サンタ・イネズ・ヴァレーを訪れる。人生につまずきを感じている二人は、旅先で出会う人々や出来事を通してそれぞれの抱える悩みと向き合っていく。
◆見どころポイント◆
①人間はちっぽけで愛おしいー人生の機微が凝縮された物語
ワイナリー巡りをするマイルスとジャックは、とても対照的なキャラクターです。
マイルスは人生に対して臆病で、過去の失敗に囚われ、前向きになれない性格です。ジャックは自由奔放で、将来のことなど考えず目の前の快楽を追い求めがち。
二人は旅を通して互いの欠点を映し合いながら、次第に自分自身を見つめ直していきます。
特に見逃せないのは、それぞれが出会う女性、マヤとステファニーとの交流です。マイルスはマヤとの繊細なやりとりに救いを見つけ出し、ジャックはステファニーとの刹那的な恋を繰り返しますが、そこには人生の岐路に立つ中年男性ならではの不安や焦燥が色濃くにじみでています。
人生を「やり直す」ことはできるのか、それとも現実と折り合いをつけて進んでいくしかないのかー 始まりと終わりに共通する"ある音"が、絶妙な余韻と感動を呼び起こします。
②ワインと人生の深いメタファー
本作の大きな魅力は、ワインという存在が人間の心情や人生の機微を象徴する道具として繊細に描かれている点です。
主人公マイルスは、繊細で管理の難しいピノ・ノワールをこよなく愛し、ワイン談義を語るなかで、自らの繊細な性格や人生観を無意識に吐露します。一方、ジャックは陽気で奔放、酔い方も豪快。
対照的な二人がさまざまなワイナリーを巡ることで、ワインの複雑さや奥深さがそのまま人間模様の層として描き出されます。
「上手く熟成する人生」「開かずに終わるワイン」など、美しい比喩を通じて人生の不可解さや切なさと向き合わせてくれる点こそ、ワイン映画の枠を超えた本作独自の深みです。
ワイン愛好者はもちろん、知識がなくても十分に楽しめるよう、描写は押しつけがましくなく、自然な形で会話や景色の中に溶け込んでいます。
マイルスのワイン通としての語り口、ワイナリーでのエピソードの豊かさが、映画全体に穏やかで滋味あるトーンを与えています。
③キャスト陣の素晴らしい演技
この映画の主な登場人物はマイルス、ジャック、マヤ、ステファニーの4人のみ。その4人を演じたキャスト陣の演技がそれぞれ素晴らしいのも、とても大きな魅力です。
綺麗事ではない等身大なキャラクターを見事に演じており、観ているこちら側がイライラしてくるほど。
個人的には、マヤを演じたヴァージニア・マドセンの演技が特にお気に入りです。
まとめ
『サイドウェイ』は、人生のほろ苦さと再生への希望を穏やかに伝えてくれる作品です。自身の人生や人間関係に一度立ち止まり、静かに深呼吸したくなるような余韻が、観る人一人一人の胸にやさしく残るでしょう。
それでは、映画とともに 素敵なラスク時間を